ハイドロゲル三次元加工は、組織再生用足場材料やドラッグドラッグデリバリー担体、さらにはソフトアクチュエータとして精力的に研究されています。
例えば生体は、微細構造のみばかりか、化学組成を含めて複雑な階層構造によって形成され機能しているソフトマテリアルです。その複雑な階層構造を再現するためには、我々は「分子設計されたハイドロゲルの部品」を逐次的に組み立てることで、テーラーメード型の三次元構造体を簡便に構築できると考えています。
Chem. Commun. 2012
Colloids Surf. B 2014
ハイドロゲルの接着制御を目的として、電気泳動接着を開発しました。アニオン性ゲルを陰極側に、カチオン性ゲルを陽極側に設置して電場を印加すると 、二つのゲルは直ちに接着しすることを見出しました。反対電場を印加した際は、接着しません。このことから、電場印加に伴う高分子電解質の電気泳動がゲルの接着に寄与していることが示唆されます。電場印加によってカチオン性高分子は陰極側へ、アニオン性高分子は陽極側へそれぞれ移動しると考えられます。二つのゲル界面でポリイオンコンプレックスが形成された結果、ゲルは接着すると現在のところ結論付けています。また、イオン結合以外の分子間力にも適用可能であることがわかっています。
Chem. Commun. 2010
Soft Matter 2012
RSC Adv. 2013
J. Mater. Chem. B 2015
刺激応答性ハイドロゲルは外部刺激に応答してその形状を大きくかえるため、水環境で駆動する人工筋肉として有望な材料です。私たちは、外部刺激に応答して湾曲するゲルの設計として勾配に着目しました。電気泳動堆積と光重合を組み合わせることで、ナノ構造勾配を持った有機無機ハイブリッドゲルと空孔密度勾配を持つゲルを作製しました。これら勾配ゲルは、異なるメカニズムによっていずれも温度に応答して大きく湾曲することがわかりました。また、温度応答性高分子ゲル内にpH応答性高分子の勾配を形成することにも成功しています。このような傾斜機能材料は、化学組成や物理的性質が連続して変化する材料であり、異なる機能を持つ材料を最も理想的に接合した材料ととらえることができます。
Adv. Mater. 2008
Chem. Commun. 2009